学生・研修医・当科で研修を希望される皆さんへ
香川大学医学部附属病院救命救急センター(香大救命)では
- 後期研修医(救急科専攻医)
- 地元の香川に帰りたい(or香川で働いてみたい)と思っている医師
- 救命救急、外傷、集中治療もいいかもと思っている、現在他科で研鑽を積まれている医師
- 神経集中治療を勉強したい、という各科医師
のいずれも大募集しています。
教授あいさつ
全国の学生、研修医、専攻医、専門医の皆さんへ
こんにちは、香大救命の黒田泰弘です。当科のリクルートページへようこそ。 読んで響くものがあれば気軽に応募フォームから連絡してください。
うちの救命救急センターの教育ビジョンは以下の4つです。
- 蘇生、全身管理(心停止、敗血症、外傷、等)のプロを育てる
- 世界標準の治療プロトコルを身につける
- 的確・迅速な決定的治療を行える力をつける
- 最後の砦としての救命救急スピリットを養う
当院は香川県の救急医療における最後の砦であり、研修では県全体を俯瞰して病院前救急から救急初期治療、検査、手術、そして集中治療を経て患者さんが退院/転院するまでをシームレスに研修できます。世界標準の救命救急、治療内容とその副作用、治療限界をすべて、指導医のもとで看護師や他のメディカルスタッフとともに初対面のご家族にドキドキしながら説明し、全力を挙げて集中治療をすること、そして治療限界になったとき患者の尊厳を考えた対応ができることを研修してもらいます。いつも思いますが、いろんな診療ガイドラインは基本を記載しているだけなので、それを勉強しておくことは必要ですが、それだけでは足りない。目の前の患者に最適な治療はそれを超えるものが必要であるということを研修してもらいたいと思います。
香大救命は全国でも稀有な、救命救急科と脳神経外科のコラボレーションができる施設で、全国の各病院では救命救急センター、CCU、脳卒中ユニット、術後ICU、などに散らばっている二次性脳障害が一堂に集まってくる強みがあります。なので、神経集中治療研修のために全国から研修に来て頂いています。もちろん当センターはそれだけでなくあらゆる重症疾患、ショック、とくに重症外傷の最後の拠点として研修ができるように準備しています。現在、重症外傷に対する治療をさらに充実するために関連部門と連携を進め、Acute Care Surgery (ACS)、Interventional Radiology (IVR)を併せた重症外傷センターを作るべく準備をしています。むしろ、「神経だけじゃない香大救命」です。患者もどんどんきますので、皆さんの力がさらに必要な状況であると同時に、いま香川で研修されるのがチャンスでもあります。
学生・研修医のみなさんは救急で一生働けるのか不安に思っている方もいると思います。
救急医とはいろいろあり方、継続の仕方があって、一生無理なく継続できるものでなくてはなりません。これは私が一番気をつけていることです。将来このようにしたい、大学院にもいきたい、海外にも留学したい、国内のこんな研修もしたい、という希望に沿えるようにします。今後の進路は各自の希望にそって選べますし、相談にのり全国の施設を紹介します。
ちなみに多くの病院に関連病院や連携病院になっていただいていますが、これらに派遣されるわけではありませんのでご安心ください。希望に応じで全国の行きたい先に私が紹介します。逆に育児、長期休養、時間差出勤、いまどこまでできるか自信がない、などの相談にのり希望に沿えるようにします。実際に子育て中のお父さん・お母さんが専攻医を経て沢山スタッフとして働いており、各々のライフプランに合わせた働き方を大事にしています。
繰り返しますが、私は個人個人に合ったキャリアプランを尊重します。香川大学卒業であるなしに関係なく連絡いただけたら大歓迎です。
●女性医師支援について
厚生労働省の報告によると令和2年度の全医師に占める女性医師の割合は22.8%で、その割合は年々増加傾向にあり、女性医師に対するキャリア支援が重要な課題となっています。それは救急科においても例外ではなく、日本救急医学会を筆頭に女性特有の環境や労働条件をふまえた様々な取組を行っています。
一般的に救急科は「きつい」という印象を持たれがちですが、シフト制のためOnとOffを明確に分けることが出来、自分の時間を有効に使える科です。(家族との旅行の時間など家庭も大事に出来ます)。当科でもシフト制勤務の強みを生かして、個々のライフステージに応じた柔軟な勤務条件を可能にしています。例えば「日勤のみの勤務」、「夜勤は週末のみ」など、それぞれの家庭の事情に合わせた勤務体系が可能です。実際に現在も育児をしながら勤務している救急医も在籍しており、日勤週1-2回から少しずつ仕事のペースを調整しつつ勤務しています。子育てしながらでも少しずつ成長していける職場環境となれるよう、医局を挙げて全力で支援しています。
初期研修医教育、リクルートについて 医局員からのメッセージ
神経救急医を目指して
11年目 香川大学医学部卒業
私は現在医者11年目、救命救急配属となってから4年目の脳神経外科医で、現在神経救急医を目指している最中です。
私は学生当初から脳神経外科を希望しており、初期研修終了後、そのまま当院の脳神経外科に入局しました。当院の脳神経外科は、3年目以降に関連施設への出向となるのですが、その前に必ず救命救急センターを最低3ヶ月は勤務することになっています。当院救命救急センターは、脳外科医が常駐し脳卒中や重症頭部外傷などを当センターで治療完遂できる本邦でも稀な施設です。
私は出向前の救命救急センター勤務を10ヶ月経験する事ができ、またその間に神経集中治療で有名なTMGあさか医療センターの江川先生と共に勤務できるという幸運にも恵まれ、神経集中治療に興味を持ちました。元々脳血管内治療に興味があったこともあり、そこから神経救急医への道を考えるようになりました。
当施設は“神経集中治療ができる救命救急センター”として、黒田教授の下、脳神経外科としては河北先生を筆頭に4名の脳神経外科医が現在常駐しています。主治医制と担当医制のハイブリッドであるため、脳外科疾患に関してほぼ最後まで治療の担当ができ、かつ非番の日に病棟管理で呼ばれることがほぼ無いというのも大きなメリットです。
また主治医に関しては、脳外科疾患だから脳外科医が筆頭主治医というわけでもありませんので、救急医として経験する可能性の高い脳卒中や頭部外傷などの初期対応、及びその後の治療介入や手術の必要性の判断などの知識を、しっかりと経験できることも当センターの大きな特徴でしょう。もちろん、必要な場合には脳神経外科医にcallし、治療内容相談や手術介入もスムーズに施行可能です。
一般的な外科や内科では、専門医の取得後にsubspecialityを決めて更に資格を取っていくという形で、ともすれば狭い領域へと診療内容が向かいがちです。しかし、他科から救命救急を希望して勤務する場合には、これまでに経験していない疾患や全身管理、救急初期対応などを経験できるため、今まで以上に診療可能な領域を広げることが可能であり、救命救急センターに来たからこそ新たに興味を持てる領域が見つかるかもしれません。
2022年4月からはドクターヘリ運用も開始となりました。救命救急に1年間勤務し、JATECの受講が終わっていれば、研修生としてドクターヘリに搭乗することも可能です。既に他科に入局している先生方も、救命救急センターで新しい興味の可能性を探し、共に空飛ぶお医者さんを目指してみませんか?
救急専攻医研修を開始して
3年目 香川大学医学部卒業
専攻医にとって香川大学の救急科専門研修プログラムの最も良いところはすでに連携施設となっている施設以外の病院へも研修に行くことができることです。これまでも外傷外科や神経集中治療、IVRの研修目的に全国の病院へ交渉していただき研修へ行っている先生方がいます。私も4年目からはサブスペシャリティーとして外科の研修に行かせていただく予定です。どこか一つの病院の研修プログラムでは満足できない、または希望する研修が叶わないと思っている人にとっては最高のプログラムを提供していただけます。
当院の救命救急センターは主に三次救急の受け入れを行っています。初療室の裏に救命ICU・HCUを併設しており初療から集中治療・一般病棟まで一貫した治療を行っております。その分忙しい日もありますが、重症で運ばれてきた患者さんが軽快し転院もしくは退院するまで診療に携われる分やりがいを感じています。
また当院の特徴としては脳外科のサブスペシャリティーを持つ救急医が複数いるため穿頭や脳室ドレナージなど脳外科的な処置も専攻医で経験することができます。最近では外傷診療にも力を入れています。香川県は不幸なことに人口当たりの交通事故件数が常に全国ワースト上位に入っており、かなりの頻度で外傷患者が運ばれてきます。今後は外傷センターへの認定とともにより外傷治療の向上が必要です。ここ数年で救急外来にて開胸・開腹を行って救命した例も数を重ねてきました。専攻医も積極的にダメージコントロール手術に参加でき(時には執刀も)外科研修前の助走という意味でも貴重な経験を積み重ねることができています。
香川県の救急医療はまだまだ発展途上です。2022年度よりドクターヘリの運用もついに開始され、ますます底上げが必要になってきています。専攻医の期間はもちろんのこと今後香川の救急医療を盛り上げていける仲間を募集中です。ぜひ一度見学からお越しください。